米中貿易摩擦に観るプラットフォームの脅威

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米中貿易摩擦が激しさを増していますね。その中で、中国の大手製造メーカーの華為(ファーウェイ)が槍玉に挙げられています。そして、今回のアメリカの対応の仕方が、ファーウェイ製品の購入を禁止するだけでなく、ファーウェイに部品提供することを禁止するという方針を示しました。そして、その部品とは、ハードウェアだけでなくソフトウェアも含まれることに。

今回、ちょっと衝撃的であったのはGoogleがファーウェイとの取引を制限したこと、そしてさらにはARM社もチップの提供を制限したということです。

 

これって、とっても怖いこと。なんでってGoogleが提供しているAndroidは、全ての基礎となるOSであるから

前にCPU?メモリ?ハードディスク?の項目でも説明しましたが、OSは快適に仕事ができるよう部屋や空調、電気を提供してくれる管理人のような存在。そんな大事なものがなくなったら、いくら優秀な人が仕事をしようとしても、何も出来ません。真っ暗でエアコンもないところに一人立たされたようなものです。

さらには、ARM社は脳みそに当たるCPUを提供しているのですが、これもストップさせられてしまいました。もう表現がブラックジャックかスーパードクターKの世界ですが脳移植手術しないと何もできません。しかも、そんなに都合よく適合する脳みそなんて用意できません。事実ファーウェイは何も出来なくなり、自分で新しいOSを開発して、CPUのチップを用意してこなくてはいけません。そして、怖いのは市場に出回っているアプリがAndroidOSに対応する形で開発されていること、ファーウェイが新しいOSを開発しても、世の中に何万と出回っているアプリが使えないと、製品として魅力的ではなくなってしまいます。

さらにGoogleはAndroidOSだけでなく、YouTubeやGmail、Googleマップといった、普段僕たちが無料で使い今や生活に欠かせなくなっているサービスも提供しています。これらもストップされることになったら・・・・

 

こういった形で、ITの世界では一部の企業がプラットフォームという形でサービスの場を提供して市場を独占している状態にあります。利用者の僕たちはタダで利用できて便利と思っていますが、このプラットフォームを提供している会社が一旦、敵対する側に回ってしまうと大変な事態に陥ります。

 

実は日本にもトロンというOS(正確にはBTRON)があり東大教授が開発を進めていました。しかし、アメリカの貿易圧力に乗じて、そのOSは商業的に陽の目を見ないことになりました。(その後、トロンは組込系でITRONがかなりのシェアを占めるようになっています。)このように基幹技術となるものについてのシェアについては、時に政治問題も絡むことがあります。EU(欧州連合)がGoogleやMicrosoftが独占的だと度々、制裁を加えているのも、このあたりをちゃんと理解しているからなんでしょう。

 

別途、記事を書こうと思いますが、今、世界的にGAFAと呼ばれるIT企業が市場を独占して、今後大きな脅威になると言われ続けています。それが、今回、米中貿易摩擦において中国側に対して表面化した形となります。ネットワークが繋がり、いろいろと便利になる世の中において、少し怖い面が見えたのが今回の事象でした。

なお、Googleに続きWindowsを提供しているMicrosoft社も後に続いています。こちらもPC向けのOSを提供しており、同様に衝撃的です。僕が子供の頃は、アメリカとソ連(現ロシア)で東西冷戦という形で対立していましたが、今は米中の間で経済による新たな冷戦が起きているのですね。

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